2013年5月5日日曜日

スマホでIP電話「各社の音質比較」編

スマホで実用的なIP電話の通話品質(音質と遅延)を比較しました。
  • 050plus
  • G-Call050
  • FUSION IP-Phone SMART
  • ドコモ携帯電話(参考)

    すべてのIP電話(VoIP)において重要なことは、「自分の声が相手にどのように届くか」です。
    理由はここでは述べませんが、これさえ気にしていれば問題ありません。

    しかし、自分がIP電話を使うのですから、気にしたくてもできません。(自分の声は相手しか聞けない。)
    そこで、IP電話の音が相手にどのように聞こえているのかを検証しました。



    使用した音声データは「声優のナレーション」サイトのサンプル音声を拝借しました。
    (良サンプルの提供ありがとうございます。)


    まず、通話の録音は実際の使用状況を考慮して次のとおり行いました。

    PCのスピーカから音声出力
    (人が話した声とみなす)
     ↓
    発信用スマホのマイクで集音
    (IP電話が拾う音)
     ↓
    受信用スマホで録音
    (相手に聞こえる声)

    これで環境ノイズも拾えるため、実際の使用環境に近くなります。

    なお、相手から届く音質については検証していません。
    これは、「相手から聞こえる音が悪い」という例を全く見ないためです。(劣悪な通信状態を除く)


    [測定条件]

      接続方法 帯域(Mbps) Ping
    (ms)
    使用端末
    DL UP
    光回線(KDDI) Wi-Fi 27.12 28.14 17 P-06D→SH-07D
    3G(LTE) Wi-Fi 7.66 2.33 134 P-06D→SH-07D
    3G 直接 4.62 0.40 210 P-06D→SH-07D
    ドコモ携帯電話(参考) F-08D→SH-07D

    ※ 何度か速度計測を行い、値がブレないことを確認しています。


    各アプリの設定は次のとおりです。
  • 050plus:デフォルト
      [音声コーデック:G.729a]

  • G-Call050:品質以外デフォルト
     (1)接続品質「高」
     (2)接続品質「低」
      [音声コーデック:不明(※)]
    ※ サポートに問い合わせたが、教えられないとのこと。

  • FUSION IP-Phone SMART:Zoiper使用(設定はデフォルト)
      [音声コーデック:G.711u]


    次に、遅延時間の計測です。

    スピーカから出力される音声を、ネットワークを通じて聞こえるものと、ダイレクトに聞こえるものとをミックスして録音しました。
    遅延時間は、その音声データの波形から解析しています。



    以下に、実際に録音した音声データと、その時の遅延時間を一覧にします。
    (夜中に録音している関係上、音量は小さめに調整しています。)

    <音声の元データ>


    <音声データ・遅延時間>
    回線種別 各サービス 音声データ 遅延(ms)
    携帯電話 NTTドコモ 212
    光回線 050plus 415
    G-Call050 品質「高」 422
    品質「低」 403
    FUSION IP-Phone SMART 432
    3G(LTE) 050plus 474
    G-Call050 品質「高」 583
    品質「低」 607
    FUSION IP-Phone SMART 479
    3G 050plus 491
    G-Call050 品質「高」 498
    品質「低」 522
    FUSION IP-Phone SMART 483


    <各サービスの考察>
    意外と知られていませんが、携帯電話でも音声は遅延します。しかし、この程度の遅延時間ですと会話に支障はでません。
    参考ですが、遅延時間が150ms以内は良好な通話が可能で(クラスB)、100ms以内では固定電話並み(クラスA)と言われています。
    一般的には200ms以内が良好な通話が可能と言われているようです。

    今回の検証で携帯電話は212ms遅延しています。しかし携帯で電話しているときに遅延を感じたことなどないと思います。
    212msという数字はそんなものです。この程度ではまず支障がありません。
    携帯電話での通話は、誰もが経験していることでしょうから、「基準」として捉えやすいと思います。

    さて、全体に言えることですが、3G(LTE含む)回線は光回線に比べて100~200ms程度遅延時間が多いです。
    これは、3G回線では光回線との応答速度(Ping)の差分が、そのまま全体の遅延の増加につながっているためです。
    音声データが電話会社にたどり着く前に遅延しているのですから、これは仕方のないことです。

    一般的に遅延時間は400msがボーダーと言われています。これから考えると「すべてがアウト」です。
    しかし、実際に使ってみるとそんなことはなく、案外気にせず使えるものです。
    これに関しては実際に使ってみるしかなく、言葉ではなんとも言えません。


    <各サービスの特徴>
    【ドコモ携帯】
    言うまでもなく普通です。
    聴き比べるとケータイって結構音質落ちるんだな、とわかります。

    【050plus】
    携帯に比べ、更にこもった音質になります。
    これは使われている音声コーデック(G.729a)のためです。
    このコーデックは若干音がこもりますが、低速回線でも良好な通話が可能と言われています。

    『録音データを聴き比べる時のポイント』
    光:携帯に比べると若干こもる。いかし人の声は聞き取りやすい。
    LTE:「失敗しても」の部分にG.729aの特徴を感じる。
    3G:光と同じ。


    【G-Call050】
    050plusより音が良く、人の声も聞き取りやすいです。
    音声コーデックに何が使われているか知りたかったのですが、G-Callは教えてくれませんでした。
    これがわかると、音質の特徴や得手・不得手もわかりやすいのですが、仕方ありません。
    私の感覚ですが、Skypeの音声コーデックで有名な「SILK」か、とも思いましたが、事実はわかりません。
    光と3Gで音質に差が出ていることから、可変ビットレートであることは確かです。
    なお「050plus」よりも、更に低速回線に強いと言われています。

    『録音データを聴き比べる時のポイント』
    光:050plusより音質が良くて聞き取りやすい。
    LTE:出だしの「医療技術の向上」の部分、「ぎ」が聞こえない、しかしつなげ方は自然。
    3G:光に比べると若干こもる。しかし3Gでさえも、光の050plusよりも音質は良好。


    【FUSION IP-Phone SMART】
    びっくりするぐらい音質が良いです。携帯より断然音がいいです・・・。BGMも忠実に再現されています。
    これもまた音声コーデック(G.711u)の特徴になります。
    G.711uは、データ容量を犠牲(増加)にして音質を最大限に上げたものです。
    これは固定電話(ISDN)の音声コーデックと同じもので、安定した固定回線であれば確かに最強です。
    しかし、3G回線のような不安定な回線では実用的ではないと言われています。
    今回のテストでは3G回線においても、安定した速度が出ており良好でした。

    『録音データを聴き比べる時のポイント』
    光:非常に明瞭で聞き取りやすい。携帯より音がいい。
    LTE:出だし「・・・目覚しい現在の中でも」の「なか」がおかしい。他もおかしいところあり。
    3G:文句なし。


    <人による検証>
    今回の検証では資料化できなかったテストがあります。
    それは人の感覚です。
    テスターは私の妻と母です。今までの録音装置に比べると頼りないですがご容赦を…。
    (母の意見は参考になります。妻の意見は……。)

  • 050plus(テスター:母)
    別に普通だよ。なんとなく音が遠いような、こもってるような気もするね。
    これで料金が安くなるのならいいんじゃない?
    (エコーについては下のG-Call050参照)

  • G-Call050(テスター:母)
    さっきの(050plus)より随分と音がいいね。すごくはっきり聞こえる。
    エコーはさっきのもコレも、すこーしだけはあるみたいね。ほとんどわかんないぐらいだよ。
    ただ、うちの電話って誰と話してもエコーするんだよね。
    (結局エコーについてはIP電話のせいか電話機のせいかわからず。)

  • FUSION IP-Phone SMART(テスター:妻)[IP→携帯]
    声がすっごい遅れて聞こえる!(同じ部屋でテストしているため、私の声も同時に聞こえている。)
    音はキレイだよ。遅れてるけど。
    (その後はケータイを手には持っていましたが、向い合って肉声で会話する妻でした…。)


    <まとめ>
    各サービスで特徴が色濃く出ており、おもしろいです。
    これから言うことは主観です。現時点で自分が思っていることをまとめます。

    まず「FUSION IP-Phone SMART」の選択肢はありません。
    なぜか?

    これを使うぐらいであれば、安定した「G-Call」(050ではない)を使って電話します。
    FUSION:16.8円/分
    G-Call:20.0円/分

    (今回検証すらしなかった「BlueSIPフォン 050」も同様の理由です。[21円/分])

    通話料を半額にする呪文「0063」>参照


    IP電話としては「G-Call050」と「050plus」の2択に絞られます。
    両者とも非常に良好なサービスなのですが、選ぶポイントはこのようになるかと思います。

    【G-Call050】
  • 050plusのガイダンスが嫌な場合
  • 音質を求める場合
  • 国際通話をする可能性がある場合

    【050plus】
  • アプリの使い勝手を優先する場合。(G-Call050より使いやすいです。)
  • 留守電メッセージ(音声データ)をメールでほしい場合。
    (G-Call050はセンターに電話をするタイプです。[無料])


    それぞれ別記事で紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。
    スマホでIP電話「G-Call050」のすすめ
    スマホでIP電話「050plus」のすすめ

    [追記]
    同じような検証を各種VoIPサービス(LINE、Skype、Viber)でも行いました。
    スマホで無料通話「LINE/Skype/Viber」の音質比較


    <雑記>
    この検証は疲れました。
    夜な夜な録音をしては失敗を繰り返し、やっと記事の公開に至れました。

    もともと通話料節約のために始めたこの検証ですが、その検証のために随分通話料がかかってしまいました。
    まさしく本末転倒です。

    まあ、私自身もすごく勉強になり、楽しかったので良しとします。

    以上で各社の音声比較を終わります。
    ここまで読んでくださった方がいましたら、長々とお付き合いいただきありがとうございました!