2014年2月19日水曜日

通話料無料のIP電話「VoipBuster」

固定電話(IP電話)宛がすべて無料、さらに発信者番号通知は「好きな番号を指定」できる夢のようなIP電話サービス「VoipBuster」を紹介します。




この夢のIP電話「VoipBuster」に期待しましたが、半分は本当に夢でした・・・。



【VoipBusterとは?】

以下Wikiの抜粋です。

VoipBuster
VoipBuster(ボイプバスター)は、ドイツのBetamax社が開発するインターネット電話の無料ソフトウェアである。Skype Technologies社のSkypeよりも通話料が安い傾向にあり、「Skypeより安い」として売り物にしている。2005年からサービスを開始。


「VoipBuster」と同種のサービスとして
  • VoipStunt
  • poivY
  • internetcalls.com

    などがあります。
    どれも大体似たようなサービスですが「VoipBuster」は、イギリスの電話番号が取得できるとのことでこれを選びました。(結果、できませんでした。)
    なお、無料期間(120日)終了後は最初のチャージ分を消費していく形になります。
    チャージ消費後は再チャージで更に120日無料になります。

    通話料は以下のとおりです。

    ◆チャージ後120日間(無料期間)
  • 固定電話宛:無料
  • IP電話宛:無料
  • 携帯電話宛:9.028円/分

    ◆無料期間終了後
  • 固定電話宛:2.778円/分
  • IP電話宛:2.778円/分
  • 携帯電話宛:9.028円/分

    さらに、認証できた番号であれば、発信者番号としてどのような番号も指定できます。
    つまりは、携帯番号を発信者番号に指定できるということです。

    こちらからはVoipBusterで発信しているにもかかわらず、相手の電話には自分の携帯番号が通知されるのです。



    【VoipBusterの問題点】

    すべてが揃った「VoipBuster」に思えますが、いくつか問題があります。
  • 登録から利用まですべて英語
  • 専用ソフトが必要

    「VoipBuster」の公式ページはすべて英語です。
    また、サービスの詳細を解説したようなサイトも日本にはありませんでした。
    私は特に英語が得意というわけではなく、いまいちサービスの内容がわかりません・・・。
    そこで、実際に登録してみてサービス内容を確認することにします。

    このように1点目の問題は試せばわかることなので、クリアできます。
    しかし、「VoipBuster」の利用に専用ソフトを使わなければならないことはどのようにクリアするか・・・。

    公式サイトでは、次の2パターンの利用が想定されていました。
    1. PCかスマホで専用ソフトを使う
    2. SIP対応のIP電話機を使う

    SIP電話機に対応しているということは、きっとSIPアプリも使えます。
    と言うことで汎用SIPアプリを使ってみたら、何の苦もなくあっさり使えました。

    これで両問題ともクリアです。



    【VoipBusterの登録手順】

    (別記事で紹介します)

    【SIPクライアントの設定方法】

    (別記事で紹介します)


    上記2項目は量が多くなるため、別の記事として掲載しました。
    VoipBusterの登録手順



    【音質の検証】

    さて、いくら使い慣れたSIPアプリに登録できたとは言え、実際の使い勝手が悪ければ意味がありません。
    そこで、「VoipBuster」の性能を検証してみました。

    まず、対応コーデックは次のとおりです。
  • G711μ
  • G729a
  • G726
  • G723(今回検証対象外)
  • iLBC
  • SILK 16k(ただし3G接続のみ)
  • GSM(今回検証対象外)

    SILKが使えたことには驚きました。
    また、「G726」への対応にも心が躍ります。


    SILK → Skypeで使われている音声コーデック。(高音質)
    G726 → 音質・帯域ともに、G711μとG729aの中間程度。


    検証は今までと同様に、「相手に聞こえる音声」を録音しました。
    IP電話において「自分が聞く相手の声」はほとんどの場合でクリアな音声に聞こえます。
    毎度の台詞ですが、重要視すべきことは「相手に届く自分の声」です。


    [使用した端末・アプリ]
  • L-01F (CPU:4コア 2.2GHz)
  • CSipSimple

    [回線]
  • Wi-Fi・・・KDDI系 光回線(Ping10~20ms程度)
  • LTE・・・ドコモXi

    [録音環境]
  • 「FUSION IP-Phone SMART」の留守電(128kbps RIFF-WAVE)

    [遅延測定環境]
  • 「IP電話で音声データを発信してから、携帯電話でそれを受信する」までのタイムラグの測定(※)


    携帯電話同士の遅延時間は200ms程度です。したがって、IP電話単体の遅延時間を知りたい場合は、この測定した遅延時間から約100msを引いた値が本来の値となります。
    ただし、ここでは実用的なデータを載せたいため、「IP電話→携帯電話」の遅延時間をそのまま掲載します。



    【音質の検証結果・検討】

    <音声の元データ>


    SIP コーデック 音声データ 遅延時間
    VoipBuster G711μ

    685ms
    G729a

    測定不可
    G726

    723ms
    iLBC

    測定不可
    SILK

    816ms(LTE接続)



    まず、音質についてです。

    ◆G711μ
    本検証コーデックの中で最も音質はクリアで聞き取りやすいです。
    (しかし、その特性上、どうしても通信量は多くなります。)

    ◆G729a
    音質はかなり良好です。
    「G711a」は通信量を極限まで切り詰めたコーデックですので、音声の「こもり」はあるものの十分実用できます。
    なお、後に出てくる「iLBC」と同様、極限までデータを絞っているためか、遅延測定ができませんでした。

    ◆G726
    私は今までに相当数の検証を行ってきましたが「G726」は初めてです。
    心躍らせながら検証するも、実用不可という結果です。
    ロボットがしゃべっているような音声になりました。
    これはコーデックが悪いわけではなく、何かほかに原因があるとは思います。
    アプリの設定を変えるだけでも結果は変わるのかもしれませんが、今回の検証ではここまでとします。

    ◆iLBC
    「FUSION IP-Phone SMART」でも使用できる高圧縮・高音質のコーデックです。
    なかなか優秀で、これであれば十分実用範囲といえます。
    遅延の測定ができないほど、不要なデータが削ぎ落とされました。
    初めて検証したコーデックですが、気に入りました。

    ◆SILK
    これだけはどういうわけかWi-Fi環境では使用できません。そのためLTE接続での検証となります。
    今まで多くのコーデックを検証しましたが、やはりSILKは良いです。
    出だしで若干のもたつきを感じましたが、その後は高音質を保っています。

    ◆遅延時間について(全コーデック共通)
    全体的にかなり遅延します。
    最も遅延が少なかった場合はG711μの「685ms」です。
    なお、3G接続で実用するであろうSILKは「816ms」も遅延しました。



    【発信者番号通知の検証結果】

    以下の電話に発信し、どのように発信者番号通知がされるか確認しました。
    なお、VoipBusterの発信者番号通知には携帯番号(※)を登録しました。

    ※ 携帯番号は仮に「090-1234-5678」とします。

    発信者番号通知一覧
    ドコモ
    通知不可能
    au
    +819012345678
    ソフトバンク
    09012345678
    KDDI固定電話
    通知不可能
    IP電話(050plus)
    819012345678
    Fusion留守電
    09012345678


    「ドコモ」「固定電話(KDDI)」で通知不可、それ以外はちゃんと番号表示がされました。
    ただし、「au」と「050plus」には日本の国番号である「81」が付加されました。
    なお、相手のケータイに自分の番号が登録されていれば、国番号が付加されても自分の名前が表示されます。

    <余談>
    話が逸れますが、「ViberOut」の発信者番号通知もこのとおりになるはずです。



    【まとめ】

    音声品質についてはコーデックの選定を間違えなければ、きれいな音質で音声も聞き取りやすいです。
    しかし、問題は遅延時間です。

    遅延時間としては「G711μ」以外は実用に堪えない結果です。(測定不可を除く)
    しかし、仮に「G711μ」を用いたとしても、この遅延時間ではテンポの良い会話は困難です。

    「FUSION IP-Phone SMART」を使ったことがある人は、それより更に遅延時間が増えると考えればイメージしやすいと思います。(Fusionの遅延時間は565ms)
    参考:<スマホでIP電話をゼロから考える(Part2)【実証】


    いずれにしても、この遅延時間では誰にでもお勧めできるようなサービスではありません。
    しかしながら、「VoipBuster」は「無料通話」という最高のアドバンテージを持っています。

    このジレンマと言いましょうか、バランスと言いましょうか・・・。

    結局は、「遅延を理解した上で利用する分には、十分に利用価値がある」という結論です。


    今後、SIP電話機にこれを登録するなどして、さらに検証を進めていきたいと思います。